そら
天井が青いわけ 明暗への適合
カメラに例えるとフィルムの役割をはたす網膜は錐体
(すいたい)と桿体(かんたい)の2種類の視細胞か
ら成っていて、明暗への適合の精妙さに大きな役割を
担っています。
錐体は、円錐のように先のとがった視細胞です。ふつ
うの明るさの範囲で、正確に形や色を見る能力をもち
ます。一方、桿体は円柱状のずんぐりした視細胞で暗
いときに活動し、わずかな光をとらえる感度の良さを
もっています。しかし、形や色はぼんやりとしか捉え
ることができません。
日中は、自然光の明るい環境の中で錐体が十分に働く
ので、我々は解像度の良い映像を享受することができ
ます(明所視)。日が暮れるにつれて錐体の働きは悪
くなりますが、その代わりに桿体が働き始め(暗所視)
人間は環境の明暗に応じて2種類の視細胞を無意識に
使い分けています。
例えば、赤いバラの花とその葉では、日没頃までは花
がより明るく目立ち緑の葉は引き立て役ですが、その
関係は暗くなると逆転します。錐体の感度は桿体より
も鈍く、特に青に鈍いといわれます。それに対して夜
用の桿体は、錐体の約千倍の感度を持ちとりわけ青に
敏感です。

波長(nm) 比視感度 明所視 暗所視